奈良市山町の圓照寺(えんしょうじ)に伝わる木造の地蔵菩薩像を奈良国立博物館(奈良博)が調査したところ、鎌倉時代末に多くの人々が関わる宗教行事で作られたものだと分かった。像内には人々の名前が記されたとみられる紙の束が納められ、中世都市・奈良の実態に迫る資料としても注目される。
圓照寺は後水尾天皇(1596~1680)の皇女、文智女王(1619~97)が開いた門跡寺院だ。像高約81センチの地蔵像は、本尊・如意輪観音像(江戸時代前期)の脇侍として伝わっていた。
2022年に本堂の改修工事があり、奈良博の山口隆介・主任研究員(日本彫刻史)が地蔵像を預かって調査。その結果、像の中から多くの紙の束が見つかった。
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紙の多くは、地蔵の姿を刻ん…